映画、本、NBA、金融……週休5日で働く元経済紙記者が気ままにつむぐ雑記ブログ

Webメディア隆盛の時代に、今さらながら

だいぶ以前から言われていることではあるが、紙媒体とWeb媒体の原稿料の差が著しい。

もちろん、紙もWebも様々な媒体があるし、オールドメディアも紙からWebに比重を移しているケースが大半である状況下、「紙 vs Web」などとして単純比較はできないが、それでもいまだに一定の傾向はあるように思う。

私がもらう限られた依頼の中でも、紙とWeb(どちらかというとOld Media と新興Web Mediaの違いか)では、同じくらいの質量の記事で1件あたりの原稿料が1.5倍〜2倍ほど違うケースも珍しくない。

紙媒体の市場がどんどん収縮し、反対にWeb媒体の市場がずんずん拡大する中では、やがてどこかのタイミングでそれぞれの原稿料相場(書いてる内容に若干ねじれがあるが、Old Media と新興Web Mediaの原稿料相場ということ)が拮抗してくることになるのだろうか。こと原稿料の水準変化については、書き手を募るプラットフォームが整備されてプレイヤーが圧倒的に増えたという点が大きな影響を与えている。だれもがライターを気軽に名乗ることができるようになり、安い金額も厭わずに原稿を量産する書き手が増える状況では、原稿料に対しては下方圧力の方が強く働く。

こうした中で、有名どころはのぞいて、旧来の中堅層(?)くらいの書き手の中には、安い料金でどんどん原稿を引き受けて相場を押し下げる書き手に対し強い憤りを抱いている人も多い。建設現場の日雇い仕事の現場でも、従来から日雇い仕事を受けていたベテランが、どんなに安い賃金でも仕事を引き受ける若手が増えたために相場が押し下げられているとしてフラストレーションを溜め込み、衝突につながるケースがあると聞くが、似たようなことが起こっているわけだ。

まあ、効率化、機会の平等化が進んだ結果であり、既得権益の壁を楽に越えられるようになった結果とも言え、書き手というか、働き手にとっては悪いことばかりではない。

これに抗おうとしたら、自分の仕事に付加価値をつけるべく努めるのが一番だが、それが難しい場合には、フリーや日雇いの人同士で組合をつくるか、それぞれの業界ごとの最低賃金を取り決めるようロビー活動(?)をするしかないのかもしれない。

時代に合った著作権者を守る仕組みがほしい

とは言え、出回っている文章コンテンツのレベルについては、流通するボリューム自体が圧倒的に増えた中で、ひどいクオリティのものが目につく機会も多くなったように思う。盗用やデマも多い。

デマはさておき、どんなに効率化を追求する中でも、著作権はないがしろにせず、一定のルールのもとで創作者に報いる仕組みを時代に合わせた形で整備してほしいと切に願う。現在、世間では、著作権法改正案の提出に向けた文化庁の審議会で罰則強化の動きがある点に話題が集中している。著作物をダウンロードしただけで刑事罰を課すという方向性が本当に妥当なのか否かも含めて、成熟した議論が必要だ。

などという月並みな結論で締めくくってしまうが、紙とWebの双方で、充実して原稿を書いていけたらいいなあ。