映画、本、NBA、金融……週休5日で働く元経済紙記者が気ままにつむぐ雑記ブログ

JALとANA、離島路線でマイルの相互利用へ

JALANAは日頃、激しく競合しているが、必要に応じて提携することもある。

国内の離島間などを飛ぶ地方路線には、両社それぞれの系列の地域航空会社が点在しているが、今回それらのうち一部の会社同士で、双方のマイルで相手方系列の航空券に交換できるクーポンのサービスが始まる。

要するに、JALANAそれぞれのマイルで相手方系列の航空会社の特典航空券にも交換できるサービスを行うというものだ。期間限定、路線限定の試みだが、課題が山積みの地域航空においては、大事な一歩となる取組と言えそうだ(航空業界全体からみたら売上面での影響は微々たるものでも、当事者である地域航空会社にとっては意義が大きいという意味で)。

背後では国交省が音頭を取っており、長らく開催されてきた有識者会議での取りまとめがベースになっているとみられる。

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 今回発行されるクーポンで搭乗できるのは、JAL傘下の日本エアコミューターJAC)の鹿児島・奄美路線などと、ANA系列のオリエンタルエアブリッジ(ORC)の長崎・福岡路線など。JALのマイルでORCに、ANAのマイルでJACの対象路線に乗れるというわけだ。それぞれ、1万マイルで1万5000円分相当のクーポンに交換できる。いずれも1000セット限定で交換する。

 

元来、航空機の維持には莫大な費用がかかるとされるなかで、過疎地域も含む離島路線を飛ぶ地域航空会社の多くは、赤字体質で地元自治体からの補助金頼みの経営が続いており、機材繰りや人員の確保なども含め、問題が山積みだと言われてきた(JACは少し勝手が違う)。少子高齢化がいっそう進み、財政逼迫で支援の先細りが不安視される中、いかにしてサステナブルな運営体制を築いていくかというのが目先の課題とされている。

ゆくゆくは、資機材の共同保有や人員の相互融通のようなことも検討しており、さらには関係各社の1社への経営統合などというドラスティックな提案もなされていたりするのだが、現実的には非常に困難な道のりだと考えられている。

統合案が検討委員会で提案されたときには、経営規模の大きいANAウイングスなどでは、社員間に動揺が走ったとも言われている(地域航空会社間での経営規模に大きな開きがあることも問題を難しくしている)。

JALANAも本音のところでは、こうした取組は負担が増すばかりといった側面が強く、できれば最小限の協力で済ませたいというところだろう。マイルの共通化にしても、そもそもマイレージに絡んだ経営戦略に違いがある上、システム面での負荷も小さくないと聞く。だが、堅固な規制に守られてきた航空業界の二大巨塔にとっては、存続に苦しむ地方の生活路線をサポートすることは社会的責務と言えなくもない。

 

  ただ、そうは言っても、シェアリングエコノミー隆盛の時代において、シンプルに需要と供給が釣り合った形で維持可能な地域航空のあり方ってないものなのかなと考えてしまうのは、安直に過ぎるのだろうか。